P「初めまして」春香「(あっ、この人私のこと好きだな)」
春香「へえ、貴方が私のプロデューサーになるわけですか」
P「ああ。これからよろしく頼むよ天海さん」
春香「こちらこそ。あ、呼び捨てでいいですよ。『春香』って。ふふっ」
P「じゃあ春香。これから頑張ろう(なんて余裕のある態度なんだ。やっぱりアイドル目指そうとする子は違うなあ)」
春香「よろしくお願いします♪(この人完全に私に惚れてる目してるなあ)」
元スレ
P「初めまして」春香「(あっ、この人私のこと好きだな)」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1447547927/
翌日
P「じゃあ各方面に挨拶周りに行こうか。車に乗ってくれ」
春香「はーい」
P「あっ、しまった後ろに荷物積んでたな……助手席に座ってくれ」
春香「なるほど」
P「えっ」
春香「なんでもないです。さあ出発しましょう!(あざといなあ)」
翌日
春香「歌のレッスン行きますね」
P「ああ」
春香「……行きますよ?」
P「うん。頑張れよ!」
春香「あれ? 見に来ないんですか?」
P「えっ? だって俺が行ったって邪魔になるだけだしな」
春香「そうですか……。じゃあ行ってきます」
小鳥「行ってらっしゃーい」
レッスンスタジオ
春香「かがやいたー……ゲフンゲフン! かがやいたー……」
先生「違います。もう百回」
P「失礼します。765プロの者ですが……」
春香「あっ、プロデューサーさん」
P「あっ、春香。このタオル事務所に忘れてたぞ」
春香「す、すみません! わざわざありがとうございます(タオルなんてほっといてもいいのに……この人よっぽど私と離れたくなかったんだなあ)」
P「スタジオの中まで入ったの初めてだよ。こんな風になってるんだな。せっかくだからちょっと見学していこうかな」
春香「(ほれ見たことか)」
レッスン終了後
P「まあ、なんだ。続けてれば歌もうまくなるさ……」
春香「すみません……(視線が気になって歌に集中できなかったんですよ!)」
P「(歌の先生綺麗だったなあ……)」
P「謝るなって! 俺は春香の歌すごい好きだぞ? なんていうか明るくなれるっていうかさ」
春香「あ、ありがとうございます……えへへ」
P「元気が伝わってくる声だよな! これは春香にしかない武器だから大丈夫だ!」
春香「プロデューサーさんにそう言ってもらえると自信持てます! よーしがんばるぞー!(もうっ下心は丸見えだけどこんなに誉められちゃうと悪い気しなくなっちゃうよ。なんだかかわいい人だなあ。ふふっ)」
P「(やっぱり春香のメンタルは相当強いようだな)」
数日後
P「今度地下のライブの前座をやることが決まったぞ」
春香「やっと人前で歌えるんですね!」
P「やったな、春香……(本当はもっと大きなステージに立たせてやりたかったんだけどな……)」
春香「(なんか微妙そうな顔してる。ははーん、さては私が遠くに行っちゃう感じに思ってるんだろうなあ。あ、それとも自分以外の人に私を見られるのが嫌とか?意外と独占欲強いのかな)」
春香「まず第一歩ですね。ここからどんどん有名になれるようにがんばります!(だから有名になってもいちいち落ち込まないでくださいね? ああ、アイドルって罪なお仕事……)」
P「……ああ!(そうだよな。千里の道も一歩から。春香に教えられてしまった。さすがだ。)」
P「衣装なんだけど、俺的にはこっちの赤いやつが似合うと思うんだけどどうかな?」
春香「うーん、私としてはもうちょっと落ち着いた暗い色のほうが……」
P「でも絶対春香には赤い色が似合うって!」
春香「うーん(そんな簡単に貴方色には染まりませんよ!)」
P「あ、ごめんな。つい熱が入っちゃって。まあ女の子の衣装のことなんて俺にはあんまりわかんないしな……。最初はモチベーション上げるためにも春香の好きに選んでもらうとするよ」
春香「(そんなあからさまに落ち込まれるとさすがの私も弱っちゃうなあ。しょうがない、今回は貴方色になってあげますよ)」
春香「でも曲との相性考えると確かに明るめの衣装のほうがいいかも! プロデューサーさんが選んだのにします!」
P「本当か! やっぱり絶対それが良いと思ってたんだよ!(なんだかこの仕事にやりがいを感じてきた)」
春香「(あ、この人『染めてやった』って顔してる。もう、私が相手だから良いもののあまり公私混同したら怒られますよ?)」
ライブ当日
春香「いよいよ出番ですね」
P「い、いいか緊張するなよ? 練習してきたことやれば大丈夫絶対いけるってがんばれがんばれいけるいける……(だめだ、緊張してわけがわからない……!)」ハラハラドキドキ
春香「(うわあ、すごい興奮してる。そりゃそうだよね。大好きな春香さんが歌って踊るところを見られるんだもん。でも……)」
春香「一生懸命頑張ります(衣装は貴方の好きにできても、心は好きにはさせませんからね!)」キリッ
P「あ、ああ……!(なんて堂々とした態度だ。こいつ、すっかりプロの顔になってる。クソッ、俺はなんて情けないんだ……)」シュン
春香「(あ、縮こまっちゃった。ちょっとキツい顔しちゃったかな?)」
ライブ中
客1「おい、あの子でらかわいくね?」
客2「なんて名前だろう」
客3「かわいい、天海さんかわいい」
春香「~♪(うーん、やっぱり前座だしみんな私に興味なさそうだなあ)」
P「おお、なかなか盛り上がってるじゃないか。やっぱり心配しすぎだったみたいだな」
帰りの車内
P「初めてのライブとは思えない出来だったな! 最高だったよ!」
春香「ありがとうございます(あ、まーた私に愛を伝える目つきしてる)」
P「本当、春香はすごいよ……(本気の覚悟を持って活動してるんだな。俺も見習わなきゃ)」
春香「(あ、口説きにかかる目だ! 危ない!)」
春香「あ、あの私ちょっと疲れたんで少し寝ますね!」
P「ああ、今日はよく頑張ったな! 事務所についたら起こすからゆっくり休んでくれ」
春香「はい(本当に寝たらいたずらされちゃうかも。寝たフリしとこ)」
春香「スヤァ……」
P「着いたぞ、春香。起きろ」
春香「……はっ! おはようございます!(い、衣服に乱れは!? ない……紳士だ……)」
P「さ、事務所に入ろう」
小鳥「春香ちゃん、お疲れさま」
春香「ありがとうございます小鳥さん」
P「明日は何の予定もないからゆっくり休んでくれ。今日は家まで送るか?」
春香「いえ、大丈夫です(送り狼ですよ! 送り狼! やっぱり男の人ってそんなんばっかり!)」
プルルルルルル
小鳥「はい、こちら765プロ……はい。プロデューサーさん、お電話です」
P「はい、代わりました。あ、今日はどうも……今後ともうちの春香を……」ペコペコ
春香「(……プロデューサーさん、私のために頑張ってお仕事とってきてくれたんだなあ)」
春香「……よし」
翌日
春香「今日はクッキーを作るぞ!」
春香「ただの趣味だし、プロデューサーさんのためでもあるけどただの労いだし……」
春香「好きな人に送るとかじゃないし。うんうん。さて、どんな型にしようかな~。このハートのやつとか……」
春香「いや好きだろこれ!!」ポイッ
春香「あぶないあぶない。勘違いさせるとこだったね。ハートのクッキーなんて送った日には向こうさん仕事に私情持ち込んじゃうよね。今もだけど」
春香「普通に丸型のでいいや」
翌日
春香「あの、プロデューサーさん」
P「お、春香おはよう。どうした?」
春香「これ、クッキー作ってきたのでよかったら……」
P「えっ春香が作ったのか!? うれしいなあありがとう!」
春香「(ごらんなさいあのうれしそうな顔! やっぱり期待持たせちゃうやつだこれ!)」
春香「あの! 疲れてそうでしたので! いつも頑張ってますので! 甘いものは脳にいいので!」
P「あ、ああ……(そんなに大変そうな感じ出してたかな……気遣わせちゃったみたいだな……)」
春香「(ちょっとキツい言い方かもだけど、これで勘違いされずに済むよね)」
P「春香はお菓子づくりが趣味なのか?」
春香「はい。いろいろ作りますよ」
P「へえ……(そういう方面で売っていくのもアリかな。料理番組とか)」
春香「(あ、エプロン姿の私のこととか考えてるな。もうっ、好き者だなあこの人)」
その後
P「雑誌のインタビューの仕事が来たぞ」
春香「ええっ、なんて雑誌ですか?」
P「なんか春香の地元のローカル誌らしいぞ。地元のスターになるかもしれないから先に目をつけときたいのかもな」
春香「スターだなんて、そんな……えへへ」
P「春香なら大丈夫だと思うがはっきりと受け答えできるように頑張ってくれ」
春香「はい!」
記者「特技は何かありますか?」
春香「お菓子づくりとー、あと転ぶことですかね?」
記者「お菓子は好きな人にあげたりするんですか?」
春香「えー? そんな……(はっ、プロデューサーさんがめっちゃこっちを凝視してる! そっか、私があげたお菓子の意味を知りたいのかな)」
P「(アイドルの恋愛話は非常にデリケートな問題だ。うまくやってくれよ春香……!)」
春香「秘密です♪(ふふっ、困らせちゃえ)」
P「(うまい。これならファンの想像の余地も膨らむ。さすがだな春香)」
春香「(やだ、すごい見られてる)」
記者「ははは、なるほど。じゃあ次の質問なんだけど……」
春香「はい!」
インタビュー後
P「お疲れ様、春香。お茶飲むか?」
春香「あっ、ありがとうございます。いやーいろいろ聞かれちゃいましたね」
P「春香が話上手だからじゃないか? 記者の人の印象も良かったみたいだぞ」
春香「本当ですか? よかった~(私の色んな話聞けて一番うれしいのはこの人なんだろうなあ)」
P「あ、でも恋愛系の話は気をつけてくれよ?」
春香「(お、来ましたね)」
P「言うまでもないがアイドルの恋愛は禁止だからな」
春香「(あー、自分で口に出して戒めてるのかな? ふふっ、どんだけ私のこと好きなのプロデューサーさん)」
春香「そんなのわかってま……」
ポロポロ
春香「!?(な、何……!?)」
春香「ちょ、ちょっとトイレに行ってきます、トイレ!」ダッ
P「……春香?」
春香「はあ、はあ……」
春香「(なんで泣いてるの私……。違う、違うよ。これはただプロデューサーさんが好きな相手と結ばれない事実に同情して……)」
春香「(いや、違う……何か、とっても嫌な気持ち……)」
春香「(何? 何の涙なの?)」
春香「ぐっ……」ボロボロ
P「春香、どうしたんだろう……生理か?」
P「いや、急な尿意かもしれない」
P「もしくは何かあったか……」
P「何か俺との会話の中で嫌なことでもあったんだろうか」
P「わからない……」
春香「プロデューサーさん……」
P「は、春香? 何かあったのか?」
春香「い、いえ目にゴミが入っただけで! あの、今日はもう失礼しますね! さようなら!」
翌日
春香「はあ……もう自分がよくわからないよ……」
ガチャ
春香「おはようございまーす……」
小鳥「そしたらもうバコーンいってブワーいって大変だったんですよ」
P「あっははは、音無さんは面白いなあ」
春香「……」
小鳥「あら、春香ちゃんおはよう」
P「あ、おはよう春香……」
春香「レッスン行ってきますね……」
P「ああ……(まだなんか様子が変だな。そっとしておこう)」
春香「(……ついてこない)」
レッスンスタジオ
先生「はい、もう一度」
春香「♪じゃあねなんて言んわないぃんで~」
先生「『ん』はいらないの。もう一度」
春香「♪じゃあねなぁて」
先生「そこはいるの」
春香「はーい(私のものにならなくていい、そばにいるだけでいい、か……)」
春香「(プロデューサーさん、ずっとそんな気持ちでいるんだよね……)」
先生「なんだか身が入ってないみたいだから今日はもうやめにしましょう」
春香「すみません……」
先生「さようなら」
春香「なにやってるんだろ、私……」
春香「♪あの子にもしも飽きたら~……」
春香「……プロデューサーさんもいつか私に飽きるのかな」
春香「いや~ないない。あのプロデューサーさんに限って」
春香「……」
春香「そっか。わかった」
春香「(私はアイドルだから恋愛禁止。そんなのやる前からわかってる)」
春香「(だからプロデューサーさんの気持ちには応えられない。そうなるとどうなるか)」
春香「(手の届かない相手をいつまでも好きでいられないよね。プロデューサーさんだってきっとそう。いつか私以外の誰かを好きになる)」
春香「(私はそれが嫌なんだ。だって私は……)」
春香「プロデューサーさん……」
回想
P『初めまして(あっ、俺この子好きだわ)』
P『これから頑張ろう(愛してる)』
P『よく頑張ったな(大好き)』
P『おーい春香(好きだよ?)』
P『春香ー(好き)』
春香「プロデューサーさん……!」
P「春香の様子がおかしい理由を考えてみた」
P「おそらくだが……俺に失望しているのではないか」
P「あんな逸材を、俺は活かしきれていない。小さな仕事にあたふたして、春香に助けられてばかり」
P「いや、しかしあんな良い子が……いや、あんな良い子だからこそ今までは優しくしてくれていたのかもしれない」
P「もっと別の誰かにプロデュースしてもらったほうが春香のためなんじゃ……」
翌日
P「……というわけで、俺を春香の担当から外してくれませんか」
高木「しかしだねえ、最近ようやく仕事も増えてきたことだし……」
P「俺の力じゃありません。春香の力です。それに、律子とかのほうが気兼ねなく接することができると思います」
高木「うーむ。とにかくもう少し待ってくれたまえ。考えておくことにするよ」
P「はい……」
P「これで良いんだ。春香のためなんだ……」
ガチャ
春香「おはようございます」
P「……春香」
春香「あっ、プ、プロデューサーさん」
P「話があるんだ」
春香「えっ……(やだ、白黒つける顔してる……)」
春香「……あの、実は私、なんとなくプロデューサーさんの考えてることわかります」
P「……! そうか……」
春香「悩んでることも知ってます(好きな人と結ばれないのに毎日のように会うんだもんそりゃつらいよね)」
春香「私たちの関係じゃしょうがないですよね」
P「ああ、そうだな(やっぱり俺みたいな無能が春香みたいなアイドルの担当なんて力不足にもほどがあったよな……)」
春香「それで……」
P「わかった。もういい。みなまでいうな」
P「実は、俺は春香の担当を降りることにしたんだ」
春香「!?(そんなにつらい思いをさせてたなんて……)」
P「俺にはお前がまぶしすぎる。これ以上一緒にいても……」
春香「プロデューサーさん!」
P「!」
春香「プロデューサーさんは私のこと好きですか?」
P「……好きに決まってるだろ!」
春香「私、気付いたんです。今まで私が頑張れたのは近くで支えてくれる人がいたからなんだって」
P「……」
春香「プロデューサーさんがいなくなったらこの先頑張れなくなると思います……だから」
春香「私、プロデューサーさんだけのアイドルになってあげます」
P「い、いいのか? 俺なんか(の担当アイドル)で?」
春香「はい。プロデューサーさんがいいんです。ちょっと情けないところとかありますけど(女の子に告白させたりとか!)」
P「うっ、耳が痛いな……。でも、ありがとう。俺、頑張るよ」
春香「これからも末永くよろしくお願いしますね!」
P「末永くって、ははは」
春香「もーなんで笑うんですかー?(あはは、照れてる照れてる)」
P「よし! もう弱音は吐かないぞ! 目指せトップアイドル!」
春香「(あれ? 恋人できたのにアイドル活動続けていいのかな? まあ芸能事務所のプロデューサーが良いって言ってるんだし良いのかな)」
春香「頑張ります!」
P「さっそく事務所に戻って社長に謝ってこなきゃな」
事務所
高木「君ぃ、こんなことはこれっきりにしてくれたまえよ」
P「すみませんでした」
春香「社長、(自分の気持ちに気付かなかった)私が悪かったんです」
P「いやいや俺が」
春香「いや私が」
社長「まあいい。また頑張りなさい」
その後、大手雑誌のインタビューで
記者「恋愛経験はありますか?」
春香「えー? んーないですけどー自分のこと好きな人のことは大体顔見ればわかるっていうかー(今絶賛交際中です! なんて言えないよね)」
記者「なるほど。好みの男性のタイプは?」
春香「私のことを好きになってくれる人です!(プロデューサーさんのことですよ!)」ウィンク
P「……」
P「(あれ? あいつ俺のこと好きって顔してね?)」
おわり