男「右手の恋人」
ある日目が覚めたら、
男「何だこれ」
俺の手がなんか柔らかくて白くてすらっとしてて柔らかかった
男「……」
男(……なにこれやばいやばいやばい)
男(俺の手は一体どうなってしまったんだ)
男(心無しか握力減ってる気がするがそんなことよりも……)
その手を見ていると、何故かドキドキした
男「……」ギュッ パッ
男(感覚はちゃんとある)
男(まあ日常生活に支障は無いか……)
男(とりあえず、朝の日課を済ませようか)
男(今日はどれにするか……)
男「……」ジッ
この右手で。行為を。
どうしようもなく、興奮してきた
男「でも……」
この、罪悪感は何だ
男「……」
男(右手はやめておこう)
男(となると、道は二つ)
男(一、左手を頼る。二、今日はやめておく)
男「……恋人を、裏切るわけにはいかないからな」
自分でも何を言っているのかよくわからないが、とりあえず今日はやめておく
男「痛っ……」
男(何もしてないのに血が……)
男「……」
男「血をそのままにするのはだめだな、うん」
男「なめないと……なめないとだよな……傷はなめておかないと……」
男「……」じっ
男「……」キョロッ
自分の、そう自分の傷口をなめるだけ。ただそれだけ。なのに何故
男「……」
俺は罪悪感を感じている?
男「……」ちゅ……
俺は傷口に口を付ける。どうした俺、早くなめろよ
男「……」れろ……ちゅ、ちゅぱぁ……
念入りに、念入りに……
男「……」れろぉ、んちゅ……じゅるっ、ちゅ……
念入りに……やらないと……
男「……女」ちゅ……
男「女……女……」ちゅぱっ、ちゅる……
何故だろう、俺は手をなめながら、クラスメイトの名前を言っていたようだ
男「あっ……」
男「もうこんな時間か」
気づけば、あれから10分経っていた
幸い今日は日曜日。時間なんて別にどうでもいい
男「……もっと」
男「治療を治療を治療を」ちゅぱ……
母「ご飯出来たよー」
母の声が聞こえてきた……
ある日目が覚めたら、
女「何これ」
私の手が大きくて骨々していて固かった
女「……」
女(えっちょっ何これ嘘嘘嘘)
女(私の手どうしちゃったの?)
女(蚊に刺されて腫れた……)
女(わけないよね)
女(私の手より一回り大きくて、なんだか……)
その手を見ていると、暖かい気持ちになった
何故かは……わからない
女「でも何で何でこんな……」
女「と、とりあえず朝のを済ませなきゃ……」ふらふら
女「あさあさあさあさあさごはーん♪」とんとん
女「……」
この手は……一体何なんだろう
女(まあ利き手じゃなくて良かったかな……)
女「痛っ!」サクッ
女(右手に傷が……)
女「と、とりあえず絆創膏貼らなきゃ……」
女「えっと絆創膏……」
女「ひゃっ……」ぴくん
女(え……?右手が……)
女「やっ……ぁ……」びくんっ
女「あっ、そん……な……なめないでぇ……」びくっびくんっ
女「なめ……る……?」
女(私、無意識になめるって……誰に?誰になめられてるの……?)
何だ、この気持ち
女「ゃ……あ……」
どきどきする。
ただのどきどきじゃない、このどきどきは、
女「はぁ……はぁ……」
恋のどきどきだ
女「へぁ……」ぐた……
翌日。手は、普通に戻っていた。何だったのだろうか……
男「ん……」
女の手に、絆創膏が貼ってある。俺と同じ場所に。
女「あ……」
女「……」カァァァ
俺と目があった途端、あいつは顔を赤らめてそっぽを向いた
男「……まさかな」
おわり
26 : 以下、名... - 2012/05/26(土) 23:04:17.22 gMc3fAm+0 19/19